WAKOMO会第1回 イベント開催報告

 2017年528日(日)、WAKOMO会初のイベント「流産・死産という悲しみについて ~小さな命をなくした体験を語り合う会~」を開催し、無事終了いたしました。ご参加くださった皆さま、またイベント開催に向けてご協力くださった方々に心よりお礼申し上げます。


当日お越しいただいた方々は約50名、第2部のわかち合いの会にご参加いただいた方は24名ほどで、4グループにわかれてお話しいただくことになりました。おひとり、またご夫婦でいらした当事者の方々、その当事者を支える医療関係者の方々、皆さんそれぞれがご自分の体験と向き合いながらその場を共有くださいました。なかには福岡といった遠方からお越しくださった方もいらっしゃいました。
イベント当日の様子についてご報告させていただきます。

第1部 3名の講演(13:30-14:50)

1人目の講演は、永森咲希(一般社団法人MoLive(モリーヴ)代表・不妊カウンセラー・家族相談士・キャリアコンサルタント・産業カウンセラー)。講演タイトルは、「聞こえてきたメッセージ」でした。

 

不妊治療と流産は密接な関係にありますが、自身が経験した不妊治療中の流産に触れました。その時の様子や気持ちを振り返りながら、失った小さな命からもらった今も大事にしているメッセージと、「今の私」「これからの私」についてお話ししました。

2人目は、池田麻里奈(コウノトリこころの相談室 代表 ・不妊カウンセラー・家族相談士)。講演タイトルは、「私の死産体験談 ~あの時から今」でした。

 
経験を語るということは、その時に立ち返り、その時の記憶と思い出をあらためてなぞるということ。 赤ちゃんがお腹の中で亡くなってしまった時のこと、処置をする前の晩の 思い、夫婦で生まれてきた赤ちゃんとどんな対面をし、どんな思いで空にみおくったか。その後の5年間の気持ちについてお話ししました。

講演3人目は、石井慶子(お空の天使パパ&ママの会(WAIS)代表・精神保健福祉士・社会福祉士・認定スピリチュアルケア師・聖路加国際大学「天使の保護者ルカの会」スタッフ・ART岡本ウーマンズクリニック生殖心理カウンセラー)。講演タイトルは、「流産と死産の悲しみ、カップルの抱える困難」でした。 

 

これまでの支援経験や自身の研究領域から、流産・死産という「いのち」を失う死別体験はどのようなものなのか、この死別体験に伴う悲嘆の反応はどういう形で表れるのか、またカップルにおける悲嘆の違いや、その後の日々の過ごし方、日常の対処法のヒントについて、事例を交えながらお話ししました。

第2部 グループでのわかち合いの会(15:05-16:30)

 今回のわかち合いの会は、1グループ6名の4グループにわかれ、お話し会の「お約束(ルール)」のもとに行いました。心理学や対人援助について学んだファシリテーターたちが会の進行を務めましたが、第1部の講演会を共に聴いた後ということもあってか、どのグループでも緊張感なくさまざまなお話が出ました。

 

今回のグループ分けでは、できるだけお話ししやすいように、同じ体験をされた方や似た環境の方に集まっていただくようにしました。実際には、それぞれが違う死別経験ですが、似た状況の方々同士だからこそわかり合えることがあったようです。時には涙し、時には笑いがあり、和やかなうちに時間が過ぎました。日ごろ他者にはあまり話したことのないことを話すことで、改めて、わが子への想いを新たにしておられました。

 

日頃孤独感を感じていらした方が、自分ひとりではないんだと励みになったとの声や、参加された皆様の帰り際のやさしい笑顔が印象的な会でした。 

 1部、2部共にアンケートをいただきましたが、多くの方から、このような会の開催についての感謝の言葉や「参加してよかった」といったお声をいただきました。他にもさまざまな感想をいただきましたが、「共感できることが多く、自分だけじゃない、ひとりじゃないんだと勇気をもらった」等といった感想も多数いただきました。

 

プログラムの構成が2部構成で、2名の体験を中心とした講演の後、捉え方や過ごし方についての理論的な講演をお聴きいただいたことも、バランスがとてもよかったというご意見をいただきました。

 半年間をかけて準備してきましたので、このような反響はとても励みになりました。スタッフ一同感謝申し上げます。

また、今回は報道関係の取材もあり、当時の模様を掲載していただきました。

社会のマイノリティーに目を向け、豊かで生きやすい社会になるために必要なことを救い上げてくださった発信を有難く思います。

 

NHK NEWS WEB 2017.6.8付「小さな命 なかったことにしないで」
 

毎日新聞2017.6.11付「記者のひとりごと」


おひとりで悲しみを抱えている方々の辛さが少しでも和らぐように、今後もこうした場をつくってまいりたいと思っております。

WAKOMO
会スタッフ一同